この記事では、プロ野球の球場に適用されている規定について書いています。
プロ野球は、ほかの社会人や学生野球とも同じように「公認野球規則」に従っています。
この「公認野球規則」は、メジャーリーグの「Official Baseball Rules」を日本語に翻訳して、それに日本独自のルールが付け加えられたものです。
その中で、プロ野球の球場について、どのような規定があるのでしょうか?
プロ野球の球場の規定:グラウンドの広さ
公認野球規則の中で、野球規則2.01にグラウンドの広さの規定があります。
- 本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、 スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60フィート以上を必要とする。
- 外野は(中略)、本塁よりフェアグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は250フィート以上を必要とするが、両翼は320フィート以上、 中堅は400フィート以上あることが優先して望まれる。
本塁からバックネット、塁線からファウルグラウンドまで60フィート(約18m)あけてください。
本塁から外野スタンドまで250フィート(約76m)必要だけど、両翼は320フィート(約97.5m)以上、中堅は400フィート(約122m)あるといいね、ということです。
これに加えてプロ野球については、追加で規定があります。
- 1958年6月1日以降プロフェッショナル野球のクラブが建造する競技場は、本塁より左右両翼のフェンス、スタンドまたは左右両翼のフェアグラウンド上にあるプレイの妨げになる施設までの最短距離は325フィート、中堅のフェンスまでの最短距離は400フィートを必要とする。
- 1958年6月1日以降現在の競技場を改造するにあたっては、本塁より左右両翼および中堅のフェンスまでの距離を、前記の最短距離以下に短縮することはできない。
1958年6月1日以降につくる球場は、両翼99m以上、中堅120m以上にしてくださいということです。
このようなルールが、およそ80年前には既に決められていたんですね。
最近のプロ野球の球場は、距離もそうですが、外野フェンスが高い印象が強いですよね。
プロ野球の球場の規定:満たしていない球場
80年も前に決められた規定なので、現在のプロ野球の球場では、すべて満たされていると思いきや、そうでもありませんでした。
プロ野球の球場の規定を満たしていないのは以下の3球場です。
明治神宮球場
明治神宮球場は、両翼の距離がプロ野球の球場の規定を満たしていません。
2008年に改修工事が行われグラウンドを拡張しましたが、両翼の距離が規定は満たすことはできなかったようです。
その後も、老朽化の補修や耐震補強工事は行われていますが、グラウンドの拡張は行われていません。
現在は、秩父宮ラグビー場と場所を入れ替える形で新球場に建て替える計画が進んでいます。
新国立競技場も出来たことですし、神宮球場も新しく造ってもいいんじゃないですかね。
横浜スタジアム
横浜スタジアムは、両翼と中堅とも距離がプロ野球の球場の規定を満たしていません。
都市公園法上の建ぺい率制限のため、将来的にも拡張不可能とされています。
建ぺい率とは、敷地面積(土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合で、例えば、100㎡の敷地面積に、50㎡の建築面積の建物を建てた場合、その建蔽率は50%になります。
都市公園法では、建蔽率の基準は、便益施設(売店や飲食店、駐車場やトイレなど)が2%以下、運動施設と休養施設が計10%以下とすることと定められています。
現在は、みなとみらい地区や山下埠頭を候補に、新しく横浜ドームを建設しようとする案が検討されています。
横浜スタジアムの周りは、もう球場を広げる余裕はないですね。
阪神甲子園球場
阪神甲子園球場も両翼、中堅ともに距離がプロ野球の球場の規定を満たしていません。
1990年代に阪神ドームの建設しようとする計画がありました。
しかし、阪神淡路大震災やバブル崩壊の影響で、老朽化による改修工事と球場周辺の整備のみが行われています。
歴史や伝統がある甲子園球場を建て替えるっていうと、難しいことがたくさんあるんでしょうね。
エスコンフィールドHOKKAIDO
エスコンフィールドHOKKAIDOは、本塁からバックネットまでの距離がプロ野球の球場の規定を満たしていません。
公認野球規則では、本塁からバックネットまで60フィート(約18.3m)以上必要とされています。
しかし、完成したばかりのエスコンフィールドHOKKAIDOであるにもかかわらず、ことが判明しました。
2023年シーズンはそのまま使用し、2023年オフに改修工事することになっています。
設計ミスなのでしょうか?新庄監督は、臨場感があるからこのままでいいのでは…と語っていますね。
プロ野球の球場の比較
具体的に各球場の規格を一覧にしました。
甲子園球場は、左中間・右中間が117.9mもあって、プロ野球の球場の規定を満たしていないとは言え、狭い球場というより広いですね。
パ・リーグの球場は、セ・リーグの球場に比べて全体的に広くなっていますね。
プロ野球の球場の規定:まとめ
この記事では、プロ野球の球場に適用されている規定について解説しました。
プロ野球の球場は、一般的に使われている「公認野球規則」に加えて、さらに大きな球場になるように規定が加えられています。
完成当初は、広いと言われた東京ドームは、現在では狭い部類ななっています。
明治神宮球場や横浜スタジアムが、将来、あの都心でどんな大きな球場ができるのか楽しみですね。
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