MLBチーム名の由来と歴史:メジャーリーグ球団名の変遷を解説

MLB

この記事では、MLBの球団名の由来を紹介します。

MLBの球団名は、もちろん英語が使用されています。

それがどんな意味なのかも紹介しています。

この記事を読めば

  • 好きな選手の球団の正式な名前
  • ひいき球団のチーム名の由来
  • 新聞などに載っているチームの略称

が分かります。

ぜひ最後まで読んでみてください。

MLBの球団名の由来【アメリカンリーグ】

最初は、MLBの球団名の由来「アメリカンリーグ編」です。

英名:American League 略称: AL

正式名称は、American League of Professional Baseball Clubsです。

MLBのチーム名には、それぞれにユニークな歴史と物語があります。

例えば、ヤンキースの名前はアメリカ北東部の開拓者を称してメディアが名付けたものです。

これらの名前には、地域の歴史や文化が反映されていることが多く、ファンにとってはただの名前以上の意味を持ちます。

チーム名の由来を知ることで、あなたもメジャーリーグの歴史の一部を感じることができるでしょう。

ロサンゼルス・エンゼルス

英名:Los Angeles Angels

略称: LAA

ロサンゼルスの地名の由来である「天使たち = the angels」から採りました。

「Los Angeles」は、この土地に入植したスペインの人々が「 El Pueblo de Nuestra Senora la Reina de los Angeles de Porciuncula」(我らが貴婦人、ポルツィウンコラの天使たちの女王の町)と名づけたのが縮まって「Los Angeles」という都市名になりました。

「天使たちの女王」とは聖母マリアのことを指します。

また、スペイン語の「Los」は、英語でいうところの「The」になります(los angels=the angels)。

本拠地の地名を、そのままチーム名にしたんですね。

オークランド・アスレチックス

英名:Oakland Athletics

略称: OAK

このチームが発足時に本拠地にしていたフィラデルフィアの人々は、古くからベースボールの原型である「タウンボール」を楽しんでいました。

1860年頃に野球が普及し始めると、「アスレチック・ベースボール・クラブ」という強豪のアマチュアチームが活動していました。

このチームは解散しますが、その後も「フィラデルフィア・アスレチックス」というチームが存在していて、現在のチームが1901年にアメリカン・リーグ加盟する際に、この名前を復活させました。

「A’s(エーズ)」と略称でも呼ばれることもあります。

オークランドに移転する前から、伝統的にアスレチックスを名乗っていたんですね。

シアトル・マリナーズ

英名:Seattle Mariners

略称: SEA

一般公募で、本拠地シアトルが港町であったことから「Mariners=海兵隊・乗組員」が選ばれました。

1969年のアメリカンリーグの球団拡張の際、シアトルにパイロッツ(Pilots)という球団が創設されましたが、赤字続きで経営難に陥り、わずか1年でミルウォーキーへ移転しました。

シアトルは、この移転が不当であるとしてMLB機構を告訴しましたが、MLB機構が1977年のアメリカンリーグ球団拡張でシアトルに球団を設置するという条件を提示し、この告訴は取り下げられました。

そして、球団が設立されるときに名称を一般公募し、決定しました。

市民につけてもらった名前なんですね。

テキサス・レンジャーズ

英名:Texas Rangers

略称: TEX

1821年、300家族がメキシコ領テキサスへ移民すると、入植地の拡大にともない自警団が必要になったため、”ranger”と呼ばれる騎馬による警ら隊が創設されました。

このレンジャーにちなんで命名されています。

現在も、アメリカ最古の州法執行機関としてテキサス州公安局に属し、ハイウェイパトロールとともに、州公安局の中核を担っています。

地元を守ってくれている人たちの組織を名前にしたんですね。

ヒューストン・アストロズ

英名:Houston Astros

略称: HOU

1962年に「ヒューストン・コルト45’s(フォーティファイブス)」として創設されました。

1965年、地元にNASAの宇宙センターがあることから、宇宙飛行士を意味するアストロノーツ(astronaut)を縮めてヒューストン・アストロズに改名しました。

地元ヒューストンは高温多湿なため、蚊の大量発生が観客や選手を悩ましていましたが、これを解決するため、世界初の屋内型スタジアム、アストロドームが建設されました。

宇宙の話題になると、必ずと言っていいほどヒューストンの地名が出ますね。

シカゴ・ホワイトソックス

英名:Chicago White Sox

略称: CWS

シカゴには、ナショナルリーグ所属のシカゴ・オーファンズ(現:シカゴ・カブス)が存在しており、このチームが以前にホワイトストッキングスと名乗っていたことになぞらえました。

1903年に優勝を果たした頃、地元紙シカゴ・トリビューンが、ホワイトソックスと略して掲載したものが一般化しました。

ちなみに、”Stockings“とは、かつて男性用のシルク製のニーハイソックスのことを指していたので、日本で言うところの脚全体をカバーする”Panty Stockings“とは意味が大きく違ってきます。

シカゴ・カブスが、以前使っていたチーム名を頂いちゃったんですね。

クリーブランド・ガーディアンズ

英名:Cleveland Guardians

略称: CLE

市内のホープメモリアル橋の傍に建ててある「交通の守護神像(Guardians of Traffic)」です。

2022年シーズンから「ガーディアンズ」に変更されました。

2021年に、MLB史上初めて3回もノーヒット・ノーランをされたので、今後は守護神が守ってくれるといいですね。

デトロイト・タイガース

英名:Detroit Tigers

略称: DET

最初は、ミシガン州に生息していたウルバーリンズ(クズリ、イタチ科)という名称でしたが、1896年に本拠地のベネット・パーク球場が開場した頃には、「タイガース」という名前が定着したと言われています。

球団発足当時、監督が履いていた濃紺地にオレンジのストライプのストッキングがトラの縞を連想させたためと言われています。

1894年以降、本拠地も愛称も変えていない唯一の球団です。

トラがいないアメリカでも、強い動物であるトラにあやかっていると思ったら、監督の靴下の柄が由来だったんですね。

カンザスシティ・ロイヤルズ

英名:Kansas City Royals

略称: KC

毎年、地元カンザスシティで行われている「American Royal (アメリカン・ロイヤル)」という家畜祭に由来しています。

また、アメリカン・ロイヤルの名称は、企画の参考としたイギリスの王立農業学会が開催する農業ショーや見本市であるRoyal Showに由来します。

地元カンザスシティの伝統や行事がチーム名になったんですね。

ミネソタ・ツインズ

英名:Minnesota Twins

略称: MIN

1901年のアメリカン・リーグ発足当初は、本拠地を首都ワシントンに置いていたため、上院議員と言う意味のセネターからとってワシントン・セネタースという名称でした。

1961年にミネソタに移転すると、本拠地としたミネアポリス市とミシシッピ川対岸のミネソタ州の州都セントポール市が「ツイン・シティーズ(双子都市)」と呼ばれることから、ミネソタ・ツインズとしています。

川を挟んだお隣さん同士、なかよくやっていきましょうという意味が込められているんですね。

ボルチモア・オリオールズ

英名:Baltimore Orioles

略称: BAL

ボルチモアがあるメリーランド州の州鳥ボルチモアムクドリモドキ(Baltimore Oriole)」が由来です。

ちなみに、1901年のアメリカン・リーグ創設時にボルチモア・オリオールズというチームがありましたが、これは1903年にニューヨークへ移転した現在のニューヨーク・ヤンキースです。

ボルチモアムクドリモドキは、オレンジ色と黒を基調としたカワイイ鳥です。

ボストン・レッドソックス

英名:Boston Red Sox

略称:BOS

1869年、初めてのプロ野球チーム「シンシナティ・レッドストッキングス」が誕生、1871年、ボストンに移転し「ボストン・レッドストッキングス」となりました。

当時の野球のユニホームの多くは、白を基調としたもので識別が難しく、球団関係者が他球団との差別化を図るために「赤い靴下」にしたようです。

このチームは、その後、アトランタに移転し、「アトランタ・ブレーブス」となり、さらに、1908年に新たなチーム「ボストン・レッドソックス」が誕生しました。

アメリカでは、「ソックス」と「ストッキングス」に厳密な使い分けはなく、「靴下」という意味で、かつてボストンにあったチーム名を継承しました。

デトロイト・タイガースの由来が監督なら、ボストン・レッドソックスは、選手たちのユニフォームに由来しているんですね。

ニューヨーク・ヤンキース

英名:New York Yankees

略称: NYY

ヤンキースの名前は、取り立てて球団側が命名したものではありません。

アメリカ北東部の開拓者を称して、メディアが「ヤンキース」と呼ぶようになったことが由来です。

ちなみに、日本のヤンキーは不良という意味ですが、ヤンキースは、規律が厳しい事で知られています。

チームが自由奔放ないで立ちの選手の獲得しなかったり、ヤンキース入りするために、トレードマークとしていた長髪を短く切り、髭をそる選手もいるくらいです。

日本語で意味する「ヤンキー」のイメージとは、ほど遠い違いがヤンキース内の規律にはあるんですね。

タンパベイ・レイズ

英名:Tampa Bay Rays

略称: TB

当初は、フロリダ湾に多く棲息するイトマキエイ(Devil Rays)を名称としていました。

しかし、創設から10年間で最下位が9回と低迷したため、2008年に愛称から「Devil」の文字を取り、「タンパベイ・レイズ」と改称されました。

「Rays」は「光線」を意味し、球団のイメージもエイから光線へ変わりました。

すると、この年地区優勝、そしてリーグ優勝を果たし、ワールドシリーズに出場しています。

チーム名を変えた途端にワールド・シリーズに進出するとは、効果絶大ですね。

トロント・ブルージェイズ

英名:Toronto Blue Jays

略称: TOR

オンタリオ州の州鳥であり、北米で見られる美しい鳥アオカケス(Blue Jay)が由来です。

通称「ジェイズ(Jays)」と呼ぶこともあります。

2005年以降、カナダの都市を本拠地としていて、アメリカ国外に本拠地を置く唯一の球団です。

アオカケスは、鳴き声が「ジェイ、ジェイ」と聞こえることから、”Jay(ジェイ)”と呼ばれるそうですよ。

MLBの球団名の由来【ナショナルリーグ】

続いて、MLBの球団名の由来「ナショナルリーグ編」です。

英名:National League 略称: NL

正式名称は、National League of Professional Baseball Clubsです。

メジャーリーグの球団名に隠された物語を知ることは、野球の試合をより深く楽しむための鍵となります。

たとえば、ドジャースは「路面電車をよける人たち」から名付けられました。

これらの名前には、それぞれに独特の背景があり、チームのアイデンティティを形成しています。

次回試合を観戦するときは、そのチーム名の背景にも思いを馳せてみてください。

アリゾナ・ダイヤモンドバックス

英名:Arizona Diamondbacks

略称: ARI

アリゾナ州一帯に生息するダイヤガラガラヘビ(背中に菱形の紋様を持つヘビ)に由来しています。

チーム名が長いため“D-Backs”と略されることもあります。

コロラド・ロッキーズ

英名:Colorado Rockies

略称: COL

チームがあるコロラド州には南北に巨大なロッキー山脈があること、球場があるデンバー近郊は平均標高が全米で一番高いことからチーム名がつけられました。

1993年からMLBに参加ですが、この年の観客動員数4,483,350人は大リーグ記録です。

ロサンゼルス・ドジャース

英名:Los Angeles Dodgers

略称: LAD

ドジャースの球団名は、その歴史と密接に関連しています。

このチームがどのようにして現在の名前になったのか、興味深いエピソードがあります

チーム名は、路面電車をよける人たち(trolley dodgers)に由来しています。

1892年、当時チームがあったブルックリンの市内に路面電車が導入されると、歩行者との事故が増加。

これがきっかけで、ブルックリンの人たちを「路面電車をよける人たち(trolley dodgers)」とするパブリックイメージが広まりました。

1895年のシーズンの始め頃には、スポーツ記者たちが「trolley dodgers」という名称でチーム名を表すようになっていきます。

1958年、本拠地をロサンゼルスへ移し、現在の名称になりました。

サンディエゴ・パドレス

英名:San Diego Padres

略称: SD

サンディエゴの開拓者であるスペイン人のフニペロ・セラ神父に由来します。

padreは、英語で「神父」を意味します。

2008年から、毎週日曜日のホームゲームでは、迷彩模様の限定ユニフォームを使用しています。

サンフランシスコ・ジャイアンツ

英名:San Francisco Giants

略称: SF

監督を務めていたマトリーがフィラデルフィア・フィリーズとの試合での勝利に興奮し、ロッカーで「お前らが大きく見える(You guys look giant!)」と叫んだという説と、かつて2人の長身選手がいたからという説があります。

日本の読売ジャイアンツの球団名とユニフォームは、このチームが元です。

1935年に読売ジャイアンツの前身、大日本東京野球倶楽部がアメリカに遠征した際、対戦チームの監督フランク・オドールに、ニックネームがあったほうが良いと提案され、強豪チームだったジャイアンツの愛称を取り、「東京ジャイアンツ」と名乗りました。

シカゴ・カブス

英名:Chicago Cubs

略称: CHC

1901年、ナショナル・リーグに対抗してアメリカン・リーグが創設されると、シカゴ球団の選手が大量にアメリカン・リーグに奪われ、無名の新人ばかりでチーム編成せざるを得なくなりました。

これを見たシカゴの新聞が「このチームは、カブスと呼んだほうがいいのでは」という記事を書いたのがきっかけです。

「カブス(cubs)」とは英語で「小熊、子供の動物」のほか「見習い」という意味もあります。

シンシナティ・レッズ

英名:Cincinnati Reds

略称: CIN

1869年の球団設立当初、チーム名はシンシナティ・レッドストッキングスでした。

ナショナルリーグに移った際にレッズに変更しましたが、1953年にレッドレッグスに変更し、1958年から再度レッズとなりました。

ミルウォーキー・ブルワーズ

英名:Milwaukee Brewers

略称: MIL

地元ミルウォーキーでは醸造が盛んであることから、ブルワー(醸造者)が由来です。

1969年のアメリカンリーグのエクスパンション(球団拡張)の際、シアトルにパイロッツ(Pilots)として創設されましたが、赤字続きで経営難に陥り、わずか1年でミルウォーキーへ移転しました。

ピッツバーグ・パイレーツ

英名:Pittsburgh Pirates

略称: PIT

資金力を背景に、他のチームから有力選手をさらってくるような補強を続けていたため、’Piracy’(海賊行為)と呼ばれ、当時のオーナーもそれを気に入って「パイレーツ」にしたそうです。

ファンからは、海賊を意味する”Buccaneer”を略して「Bucs(バックス)」と呼ばれています。

19世紀から存在する古参球団で、第1回ワールドシリーズに出場しています。

セントルイス・カージナルス

英名:St. Louis Cardinals

略称: STL

選手が着用していた朱色のユニフォームと、ミズーリ州の州鳥カージナルが同じ朱色であることを、地元紙記者がひっかけたことが由来です。

ですから、カージナルという鳥をチームの象徴としたわけではありません。

1882年に創設され、ワールドシリーズ優勝11回はニューヨーク・ヤンキースに次いで2位です。

アトランタ・ブレーブス

英名:Atlanta Braves

略称: ATL

勇敢、勇者といった意味の「Brave(ブレーブ)」が由来です。

1869年、初めてのプロ野球チームとして「シンシナティ・レッドストッキングス」が誕生しました。

1871年、ボストンに移転し「ボストン・レッドストッキングス」となりました。

その後、最終的にアトランタに移転し、「アトランタ・ブレーブス」となりました。

マイアミ・マーリンズ

英名:Miami Marlins

略称: MIA

ヘミングウェイの小説『老人と海』に登場する勇猛な魚に由来しています。

その魚がマカジキ(marlin)のことです。

MLBの球団拡張の際、「野球のキャンプ地に、ホーム・チームがないのはいかがなものか」として1993年にフロリダ・マーリンズの球団名で誕生しました。

ニューヨーク・メッツ

英名:New York Mets

略称: NYM

1880年代に存在したニューヨーク・メトロポリタンズというチームを由来にしています。

メトロポリタン(metropolitan)とは、都会っ子という意味です。

メッツのシティ・フィールドとヤンキースのヤンキー・スタジアムは地下鉄で結ばれているため、両チームの対戦はサブウェイ・シリーズと呼ばれ、MLBで最も熱いカードの一つです。

フィラデルフィア・フィリーズ

英名:Philadelphia Phillies

略称: PHI

フィリー(Philly)は、フィラデルフィアの略称でフィラデルフィア市民の通称でもあります。

19世紀から存在する古豪球団。ファンの熱狂ぶりはMLBトップクラスで知られます。

ワシントン・ナショナルズ

英名:Washington Nationals

略称: WSH

1859年にホワイトハウスの職員を中心に結成されたワシントンD.C.最古の野球チーム「ナショナル・ベース・ボール・クラブ」に由来します。

1969年、モントリオール・エクスポズが、カナダにできた史上初のMLB球団として創設されました。

2005年より本拠地をアメリカの首都ワシントンD.C.に移転しました。

まとめ

この記事では、MLB球団のチーム名の由来を紹介しました。

MLBは、現在30チームもありますし、歴史も長いです。

そのどのチームもフランチャイズに根差していこうという気持ちが見て取れます。

ひいきチームの勝ち負けも気になりますが、MLBの球団名の由来をひとつひとつ知るのも楽しいですね。

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