この記事では、プロ野球の引き分けのルールについてご紹介します。
プロ野球の試合で、両チームとも一歩も引かずに引き分けということが1シーズンに何度もあります。
この記事を読めば、引き分けは、どのような時に適用されるのかが分かります。
プロ野球の引き分けのルール
NPB管轄のプロ野球では、セ・パ両リーグともに延長12回で同点だった場合は引き分けとなります。
クライマックスシリーズも同じように延長12回で引き分けとなり、再試合は行わず、シーズン中に順位が上だったチームが勝ち進みます。
日本選手権シリーズは、第7戦までは延長12回で引き分けとなります。
第7戦終了時点で両チームの勝ち数が同じ場合は、第8戦が行われ、引き分けにすることなく決着がつくまで戦います。
ここまで見ると、シーズン中の公式戦は、延長12回までに決着がつかなければ引き分けですね。
シリーズ | 最大延長 | 同点の場合 |
---|---|---|
セ・リーグ | 延長12回 | 引き分け |
パ・リーグ | 延長12回 | 引き分け |
クライマックス・シリーズ | 延長12回 | 引き分け |
日本シリーズ(第7戦まで) | 延長12回 | 引き分け |
ここでキーワードになるのが、「NPBでの延長は最大で12回まで」ということですね。
プロ野球の延長戦については、こちらの記事で解説しています。
オールスターゲームは、9回で同点の場合は引き分けで終了です。
二軍を見てみると、イースタンリーグは延長11回、ウェスタンリーグは延長10回で同点の場合は引き分けとなります。
二軍の日本選手権(一軍で言うところの日本シリーズ)は、1戦のみの開催になるため、決着がつくまで延長して、引き分けはありません。
二軍のオールスターゲームであるフレッシュオールスターは、9回で同点の場合は引き分けで終了します。
プロ野球は引き分けが多いと有利?
プロ野球の場合、引き分けが多いと有利になります。
それは、プロ野球の公式戦の順位は、勝率で決められているためです。
では、なぜ引き分けの数が多いと勝率に有利なのでしょう?
答えは、勝率の計算のしかたにあります。
勝ち数 ÷ (試合数 – 引き分け数)
勝率の計算はこのように計算されます。
つまり、引き分けた場合は、計算上、その試合はなかったことになるのです。
数学的な言い方をすれば、割る数(試合数 – 引き分け数)が小さければ、答えになる数字は大きくなります。
例えば、2021年には、勝ち数がヤクルトを上回った阪神でしたが、引き分けの数が少なかったために勝率が低くなり、優勝を逃しています。
順位 | チーム | 試合数 | 勝ち数 | 引き分け数 | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|
優勝 | ヤクルト | 143 | 73 | 18 | 0.584 |
2位 | 阪神 | 143 | 77 | 10 | 0.579 |
- ヤクルト:73 ÷ (143 – 18) = 0.584
- 阪神:77 ÷ (143 – 10) = 0.579
プロ野球の引き分けはゲーム差を無効にする?
両チームの勝ち数と負け数の差を引いて2で割った数がゲーム差になります。
ゲーム差の計算については、こちらで詳しく解説しています。
例えば、6勝4敗のAチームの勝敗差が2(貯金)、4勝6敗のBチームの勝敗差が -2(借金)の場合
{ 2 -(-2)}÷ 2 = 2
AチームとBチームのゲーム差は「2」になります
ゲーム差は、この両チームが直接対決したときに、下位のチームがどれだけ勝てばよいかが分かります。
しかし、日本のプロ野球においてのゲーム差は、そのチームの優位性には関係ないことがあります。
ゲーム差の概念が生まれたのは、アメリカのMLBです。
MLBでは、引き分けがないのでゲーム差がそのまま優勝争いに直結しますが、引き分けのあるプロ野球では目安にしかならないんです。
MLBには引き分けがない理由は、こちらの記事をご覧ください。
2008年のイースタン・リーグでは、ゲーム差が逆転してヤクルトが優勝しています。
順位 | チーム | 勝 | 敗 | 引き分け数 | ゲーム差 | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|
優勝 | ヤクルトスワローズ | 55 | 34 | 7 | — | .618 |
2位 | 読売ジャイアンツ | 58 | 36 | 2 | -0.5 | .617 |
勝ち数から負け数を引いた貯金がジャイアンツより少なく、ゲーム差も0.5あるにもかかわらず、勝率が高かったヤクルトが優勝しました。
まとめ
この記事では、プロ野球の引き分けのルールを紹介しました。
野球は、9回で両チーム同点の場合には延長戦が行われます。
ただし、プロ野球の場合、勝負に決着がつくまで延長戦が続くわけではありません。
延長は12回までとなっていて、その時点で両チーム同点の場合は引き分けとなります。
そして、ペナントレースの各チームの成績においては、引き分けはノーカウントとなります。
そのため、引き分けが多いチームが優勝争いで有利になることがあります。
また、プロ野球のペナントレースでは、ゲーム差が順位を左右しているように見えますが、実際には勝率で順位を決めるため目安でしかありません。
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