この記事では、プロ野球の球場の所有者を紹介します。
プロ野球の試合が行われている各球場の所有者が誰なのか疑問に思ったことはありませんか?
この記事を読めば、こんなことが分かります。
- プロ野球の球場の所有者
- 賃貸球場に支払っている使用料
分かりやすくするように、球場を家に見立てて表現してみました。
2023年9月28日:プロ野球の準本拠地球場の記事を加えました。
プロ野球の球場所有者:自前球場を持つ球団
球団が「自分で家を持っている」球場です。
自前球場を持つ球団は、運営コストの削減に成功しています。
これにより、ファンに向けたサービス向上にも貢献しているのです。
福岡PayPayドーム
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
福岡ソフトバンクホークス | (自己保有) | 福岡ソフトバンクホークス |
2012年3月24日、ソフトバンクはシンガポール政府投資公社から福岡ドームを約860億円で取得。
現在はソフトバンク球団自体が所有者となり、唯一の「完全自前球場」になっています。
プロ野球で球場を自前で持っているのは、福岡ソフトバンクホークスのみです。
ソフトバンクという会社はお金持ちだと思っていましたが、さすがですね。
プロ野球球場の所有者:球団の親会社とその影響
「子どもを実家に住まわせている」球場です。
球団の親会社が球場を所有する場合、球団の経済安定につながることが多いですね。
ファンとしても安心です。
西武ドーム(ベルーナドーム)
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
西武鉄道 | (実家住まい) | 埼玉西武ライオンズ |
「株式会社西武ライオンズ」が運営を管理しています。
西武鉄道の元の親会社、コクド(旧社名は国土計画)が経営難に喘いでいたクラウンライターライオンズからライオンズの保有権を取得した際に建設されました。
阪神甲子園球場
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
阪神電気鉄道 | (実家住まい) | 阪神タイガース |
球場の管理、運営も「阪神電気鉄道」が行っています。
全国高校野球選手権大会(高校野球)の前身、全国中等学校優勝野球大会が、開催を重ねるごとに注目を集めるようになると、当時使用していた球場が手狭になったため、野球大会主催の大阪朝日新聞が阪神電気鉄道に本格的な球場建設を提案して、甲子園球場が建設されました。
親会社が鉄道会社で、鉄道会社と言えば不動産というイメージがあるのは、わたしだけでしょうか?
プロ野球球場の所有者:グループ企業と使用料
「親戚の子を下宿させている」球場です。
グループ企業が球場を所有すると、球団との連携がスムーズに進むことがあります。
このような関係性は、球団運営にとってもプラスになります。
エスコンフィールドHOKKAIDO
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
株式会社ファイターズスポーツ &エンターテイメント | 北海道日本ハムファイターズ |
今まで本拠地としていた札幌ドームは、年間の賃料が13億円程度である上に、グッズなどの売上も直接球団に入りませんでした。
このままでは、地域密着をテーマにした球団経営に限界があるとして新球場を検討を始めました。
これに北広島市が一早く対応したことから最有力候補となり、2018年に北広島市内の「きたひろしま総合運動公園」に新球場を建設することを決定しました。
2023年から北海道日本ハムファイターズの本拠地となります。
公演敷地36haのうち20haという広大な土地の無償貸与、10年間の固定資産税と都市計画税の免除などの市の支援が大きな決め手となりました。
札幌市の「どうせ札幌しかないだろう」というような傲慢な態度や対応の遅さが、こんな結果をもたらしましたね。
ナゴヤドーム(バンテリンドームナゴヤ)
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
株式会社ナゴヤドーム | 年間40億円以上(レンタル料) | 中日ドラゴンズ |
「株式会社ナゴヤドーム」が球場運営も行っています。
「株式会社ナゴヤドーム」は、中日新聞社をはじめとした地元財界の共同出資によって設立された株式会社ナゴヤ球場が前身で、中日新聞社のグループ企業です。
中日ドラゴンズは株式会社ナゴヤドームの経営支援として、年間40億円以上の球場レンタル料を支払っています。
大阪ドーム(京セラドーム大阪)
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
オリックスグループ | 年間11億円 | オリックス・バファローズ |
大阪政財界の建設を求める声に応える形で、大阪市の第三セクターである「大阪シティドーム社」が設立されドームが建設されました。
しかし、経営不振のため、2006年に「オリックス不動産」が5~10年後に大阪市へ寄付することを視野に入れてシティドーム社から約90億円で買収しました。
なお、球場の寄付の時期については延長されています。
地元の政財界が、プロ野球による地域の発展を願って建設された球場ってことですね。
プロ野球球場の使用料:他企業が所有する場合
「民間のアパートとして貸し出している」球場です。
他企業が球場を所有している場合、球団は使用料の支払いに注目が集まります。
しかし、これによって球場の質の維持向上が図られることも。
東京ドーム
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
株式会社東京ドーム | 年間30億円以上 | 読売ジャイアンツ |
読売ジャイアンツは、株式会社東京ドームに、球場使用料として年間30億円以上支払っているといわれています。
明治神宮野球場
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
宗教法人明治神宮 | 年間約10億円 | 東京ヤクルトスワローズ |
東京ヤクルトスワローズの年間使用料は約10億円といわれています。
ちなみに「神宮球場は、ヤクルトスワローズの本拠地で大学野球は間借りしている」と誤解されていますが、正しくはヤクルトスワローズが間借りしています。
東京の2球団が家賃を払って球場を使用しているんですね。
プロ野球球場の使用料:地方公共団体の所有
「県営や市営の住宅として貸し出している」球場です。
地方公共団体が球場を所有していると、地域と球団の連携が深まります。
地元ファンにとっては、球団への愛着がさらに深まるかもしれませんね。
千葉マリンスタジアム(ZOZOマリンスタジアム)
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
千葉市 | 千葉ロッテマリーンズ |
第三セクター「株式会社千葉マリンスタジアム」が管理運営しています。
千葉ロッテマリーンズが指定管理者となり、球場内の広告や売店など、ある程度自由に管理することが認められていて、球団の収支改善に大きく影響しています。
横浜スタジアム
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
横浜市(施設) 国(土地) | 横浜DeNAベイスターズ |
土地は国有地で、施設は横浜市が所有しています。
ディー・エヌ・エーの連結子会社「株式会社横浜スタジアム」が運営管理を行っています。
かつては、球団に物販・広告収入が入ってこず、球団経営を圧迫させていました。
ディー・エヌ・エーが「株式会社横浜スタジアム」を買収、ベイスターズ球団との一体運営へ移行し、球団が物販・広告収入を直接確保できるようになりました。
これにより、球団経営の改善やスタジアムの改修に向けた意思決定の迅速化が見込まれています。
宮城球場(楽天生命パーク)
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
宮城県 | 年間5000万円 | 東北楽天ゴールデンイーグルス |
球団の運営法人である「株式会社楽天野球団」が運営管理を行っています。
楽天はプロ野球に参入する際、球場の改修費用を全額負担することと引き替えに、破格の年間5000万円で所有者の宮城県と賃貸契約を締結しました。
また、球場内のすべての収益が球団に入る仕組みをつくり、参入初年度からの経営黒字を計上しています。
広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)
所有者 | 使用料 | 本拠とする球団 |
広島市 | 年間約10億円 | 広島東洋カープ |
「株式会社広島東洋カープ」が指定管理者として、球場の運営管理を行っています。
当初、入場料収入の25%、年間約20億円の使用料を払っていました。
その後、球場使用料を入場料の25%から13%へと大きく減額されました。
また、新設の広告スペースの営業権も球団が持っています。
このような関係の球団は、地元市民に愛されていますから、他の球団も同じようにすると地元球団に愛されるようになるのに。
プロ野球の準本拠地
ここでは、プロ野球の各チームの「準本拠地」に指定された球場を紹介します。
花咲スポーツ公園硬式野球場(通称スタルヒン球場)
- 所在地:北海道旭川市花咲町
- 開場:1984年4月1日
- 収容人員: 25,000人(内野:10,000人、外野:15,000人)
北海道日本ハムファイターズが準本拠地として使用しています。
旭川市が所有、旭川市公園緑地協会(指定管理者)が管理・運用しています。
プロ野球公式戦のほか、マルハンドリームカップ・全国草野球トーナメント北海道地区大会、北海道学生野球連盟、全国高等学校野球選手権北北海道大会などでも使用されます。
北海道唯一の屋外ナイター開催球場でもあります。
冬季には「ちびっこスキー場」を開設するなど、地域に密着した施設となっています。
神戸総合運動公園野球場(ほっともっとフィールド神戸)
- 所在地:兵庫県神戸市須磨区
- 開場:1988年3月6日
- 収容人員: 35,000人(内野:27,000人、外野:8,000人)
オリックス・バファローズが準本拠地として使用しています。
神戸市が所有、オリックス野球クラブが運営管理を行っています。
開放感あふれる設計で、観客からの評価も高くいて、施設命名権(ネーミングライツ)の先駆けとしても有名です。
オリックス・ブレーブス、オリックス・ブルーウェーブ、オリックス・バファローズなどのプロ野球チームの本拠地や準本拠地として使われてきました。
周囲の緑に囲まれた環境で、観戦がとても楽しい場所です。
北九州市民球場
- 所在地:福岡県北九州市小倉北区
- 開場:1958年4月5日
- 収容人員: 20,000人
福岡ソフトバンクホークスが準本拠地として使用しています。
北九州市が所有、北九州野球株式会社が指定管理者として運営管理を行っています。
この球場は、福岡ソフトバンクホークスが年間2試合程度の公式戦を開催しており、過去には西鉄ライオンズなども使用していました。
施設の改修やリニューアルも行われており、アマチュア野球や大学野球の試合にも利用されています。
埼玉県営大宮公園野球場
- 所在地:埼玉県さいたま市大宮区
- 開場:1934年4月1日(1992年改築)
- 収容人員: 20,500人
埼玉西武ライオンズの準本拠地として使用しています。
埼玉県が所有し、埼玉県公園緑地協会が運営管理を行っています。
また、歴史的なエピソードや映画「タッチ」のロケ地としても使用されたことがあります。
プロ野球の球場の所有者:まとめ
この記事では、プロ野球球団が本拠とする球場の所有者と使用料を紹介しました。
球場の所有者が無関係である読売ジャイアンツは、年間30億円の賃貸料を払っていても黒字だそうです。
また、北海道日本ハムファイターズは、札幌市との軋轢が話題になった一方で、千葉ロッテマリーンズや広島東洋カープのように地元との良好な関係を保っています。
野球が文化になっているアメリカでは、市や郡が建設した球場を安く貸し出して、グッズなどの販売収入の一部も球団に入る「折衷」という仕組みを作っています。
日本にも「折衷」が根付くと、プロ野球ファンがより一層楽しめる球場になり、球場へやって来るファンが増えて、収入も増えるんでしょうね。
コメント
横浜スタジアムは…
ご指摘ありがとうございました。
「横浜スタジアム」を追記しました。
ぜひご覧ください。
ほっともっとフィールド神戸についても教えてください
所有は神戸市だと思いますが管理運営はオリックス?
ご意見ありがとうございます。
この記事では、各チームの本拠地球場の所有者を記事にしたため、準本拠地については記事にしていません。
ただ、おもしろいなと思いましたので、各チームの準本拠地をこの記事に加筆するか、別記事で紹介しようと思います。
東京ドームって三井不動産による買収と読売グループへの株式譲渡でほぼ自前球場になったはずですけどその辺ってどうなんでしょうかね。
ご意見ありがとうございます。
三井不動産によるTOBによって東京ドームが買収されて、そのうち20%の株式が読売グループに譲渡されましたね。
ただ、築地移転の話などを読むと、巨人が移転した時に、完全自前球場が現実になるようにする目論見だと思っています。
結局戻ってくるとは言え、年間30億円の施設使用料を支払っているので、ソフトバンクのような自前球場とは違う気がします。
経済の話は難しいですが、将来的に三井不動産が東京ドームの土地に商業施設をつくる前振りだと思っています。