この記事では、MLBの延長戦のルールについて紹介します。
日本のプロ野球では、12回で同点だった場合、それ以上は延長しないというルールになっています。
野球発祥の地アメリカでは、どのようなルールになっているのでしょうか?
MLB延長戦ルール:アメリカ人の生活スタイル
MLBの延長戦のルールは、原則回数も時間も無制限です。
これには、アメリカ人の生活スタイルも大きく関係しています。
アメリカでは電車で球場に行くことは、あまりありません。
アメリカは、日本のように鉄道が発達してないので、主に車で移動する社会で、また、球場の周辺にも大規模な駐車場が用意されていて、相当数の車を停められるためです。
そのため、アメリカのファンの多くは終電の心配をする必要がありません。
車社会であることも、野球文化に影響しているのかも知れませんね。
MLBの延長戦のルールは?
延長戦とは、規定の時間や攻撃回数まで競技を行っても決着がつかなかったとき、決着を付けるために競技を継続することです。
MLBの延長戦は原則無制限ですが、試合があまりにも長引いたり降雨等で試合続行不能になった場合はサスペンデッドゲームになることがあります。
また、2000年までは、アメリカン・リーグには、現地時間で午前1時を過ぎたら新しいイニングには入らないという「消灯ルール」と言うものがありましたが、その時点で同点だった場合、翌日へのサスペンデッドゲームとしていました。
いずれにしても、MLBには引き分けがないということです。
MLBの勝敗表には引き分けの項目がなく、引き分けというルール自体がありません。
ポストシーズンやオールスター戦も引き分けはありません。
ただ、オールスター戦では降雨や、ベンチに選手がいなくなって引き分けになったケースが1961年、2002年の2回あります。
MLB延長戦ルール:2023年の主要な変更点
2023年のMLB延長戦ルールには、生活様式の変更の影響を受けた変更がいくつかあります。
特に、タイブレーク制の恒久化や野手の投手としての登板条件の変更が注目されています。
タイブレーク制の恒久化
2020年シーズンに試験的に導入された「タイブレーク制」。
タイブレーク制:9イニングを超えた試合では、毎回二塁に走者を置いてイニングが開始。
2020年、生活様式の変化の影響は世界中に広がり、多くのスポーツイベントが中止や延期を余儀なくされました。
MLBも例外ではなく、選手やスタッフの健康と安全を確保するための新しいルールや制度が求められました。
その中で、試験的に導入されたのが「タイブレーク制」です。
一部の伝統主義者からは、このルール変更に対する批判も存在しました。
しかし、選手の健康と安全を最優先に考える観点から、多くの関係者やファンがこの変更を支持しました。
3シーズンの間に、「タイブレーク制」の下での多くの試合が行われました。
その結果、試合時間の短縮や選手の疲労軽減などの効果が確認されました。
これにより、2023年シーズンからの恒久化が決定されたのです。
野手の投手としての登板条件の変更
MLBでは、特定の条件下で野手が投手として登板することが許されています。
2022年シーズンまでは、試合が延長戦になった場合や6点差以上がついた場合に限り、野手が投手としての登板が許可されていました。
しかし、2023年シーズンからは、この条件がさらに厳格化。
- 延長戦
- チームが8点以上負けている場合
- 9回で10点以上のリードがある場合
このような時に、野手の投手登板が認められるようになりました。
この変更の背景には、近年の試合での野手登板の頻度の増加があります。
特に、大差がついた試合や連戦中など、通常の投手を休ませるために野手がマウンドに上がるケースが増えてきました。
2019年には90回の野手登板が記録されたのに対し、2022年シーズンには132回もの野手登板がありました。
これは、試合のクオリティーに悪影響を及ぼすとの懸念から、ルールの変更が求められました。
新ルールは、野手の投手としての登板をより厳格な条件下で行うことを目的としています。
MLB延長戦ルール:引き分けがない理由
そもそも「引き分け」という考え方は、もともと野球にはありませんでした。
1856年までは、バレーボールのように、回数には関係なく21点先取したチームが勝ちでした。
しかし、これではあまりにも時間がかかってしまうという問題がありました。
そのため、1857年に「9イニングス終了時点で得点が多かったチームを勝ちとする」とルールが改められました。
ただし、9回終了時点で同点の場合は、決着がつくまで試合は続けられました。
このようなことから、9イニング制に変わった現在のMLBにおいても、「延長戦は何回までで終わり」という考え自体がないのだそうです。
この伝統が「MLBの原則」として現在まで続いています。
MLBの延長戦のルール アメリカ野球の延長戦最長記録は?
1920年5月1日のブルックリン・ドジャース対アトランタ・ブレーブス戦では、試合時間こそ3時間50分でしたが、延長26回まで行われました。
実は、日本人選手にもエピソードがあります。
2014年8月9日のエンゼルス対レッドソックス戦は延長19回で試合時間が6時間31分でした。
その翌日の10日に行われたブルージェイズ対タイガースも延長戦に突入。
この日、7回から出場した川崎宗則選手は、実にそこから7打席も立ち、試合を決着づけるホームインもしています。
この時も19回まで行われ、試合時間は6時間37分でした。
MLBの延長戦のルール まとめ
アメリカの野球文化は、試合が決着するまで続行されるという原則に基づいています。
- 車社会であるため多くの観客が終電の心配がないこと
- かつて野球がバレーボールのような点取りゲームだったこと
- そのため決着がつくまで試合を終わらないこと
このようなことで、引き分けがある日本とは違う野球文化が根付いているようですね。
また、2023年のシーズンでは、生活様式の変更や選手の健康を考慮した結果、いくつかの主要なルール変更が行われました。
- 「タイブレーク制の恒久化」
- 「野手の投手としての登板条件の厳格化」
これらの変更は、一部の伝統主義者からの批判も存在するのも事実です。
反面、選手の健康と安全を最優先に考える観点から、多くの関係者やファンに支持されています。
今後のMLBの展開において、これらのルール変更がどのような影響をもたらすのか、引き続き注目されるでしょう。
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