プロ野球の球団に入団するときに受け取る契約金にかかる税金について調べてみました。
ドラフト1位ともなれば、契約金1億円なんて聞くことがあります。
しかし、お金が動けば税金がかかるものですよね。
いったい、いくらの税金を払うのでしょうか?
そして、どんれだけ手元に残るのでしょうか?
プロ野球の契約金の税金:通常課税での手取り額は?
契約金1億円、年俸800万円の場合
この場合、所得税は最高税率になってしまいますので税率は45%になります。
すると基礎控除などを所得から引いても
(1億 + 800万 – 38万(基礎控除))× 45%
となりますので、納税額は約4800万円となります。
ですので、契約金の手取り額は約5200万円になります。
1億円もの契約金を一時所得として累進課税の制度を適用すると、いきなり高額な税金を払う必要ができてしまいます。
プロ野球の契約金の税金:平均課税と言う制度
実は、プロ野球の契約金に課税するときは、「平均課税」という制度になります。
プロ野球の球団に入るときに支払われる契約金は、税法上「臨時所得」となります。
<所得税法施行令第8条 臨時所得の範囲>
職業野球の選手その他一定の者に専属して役務の提供をする者が、三年以上の期間、当該一定の者のために役務を提供し、又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に受ける契約金で、その金額がその契約による役務の提供に対する報酬の年額の二倍に相当する金額以上であるものに係る所得
プロ野球選手がひとつの球団と契約して、年俸の2倍以上の契約金の支払いを受けた場合は「臨時所得」ということにしますよ、ということです。
選手は、一定の期間(高卒の場合は8年以上)一軍登録されなければFA権を行使できません。
FA権を取得する条件は、こちらの記事をご覧ください。
つまり、この期間、自分の意志で球団を変えることが出来ないということになります。
これが、「3年以上の役務の提供」に該当するとの考えのようです。
臨時所得の平均課税は、契約金を5年間に分けて受け取ったとみなして課税して、負担を減らしてあげましょうという制度のことです。
プロ野球の契約金の税金:平均課税での手取り額は?
これを、契約金を臨時所得として平均課税すると、最初の年の収入は、
1億 ÷ 5年 + 800万 – 38万(基礎控除)= 2762万円
すると、税率が約29%になりますので、納税額は約800万円/1年になります。
5年間で合計の納税額は約4000万円ということになります。
納税額が800万円減って、手元に残る額は約6000万円になります。
まとめ
プロ野球の契約金の税金を単純計算での税額と手取り額を計算してみました。
ここに、住民税(10%)や消費税(8%)がかかりますので、まだ手取り額は減ります。
2年目以降の年俸が上がれば税額は増えますが、平均課税を適用することで、少なくとも契約金に対する税金の負担が軽くなり、手取りが増えることが分かりました。
メジャーリーグでは、契約金が100億を超えることがあります。
アメリカの国税である連邦所得税の最高税率も日本に比べると37%と低くなっていますし、住民税にあたる州所得税については、州によって無税のところもあるそうです。
人生のほとんどの時間を野球に捧げる日本のプロ野球選手がメジャーリーグを目指すのは、こういった背景もあるのかも知れません。
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